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堀川宏幸さんとの出会い2


同じ日に、同じルートで、雪の撮影をしていた堀川さん。

2月にネット上で知り合ってから、頻繁に「いいね」をしたり、

短いコメントを交わすようになった。

桜が終わり、レンゲの花が咲く季節になっていた。

私は、見渡す限り真っ赤なレンゲ畑がもう一度見たくて

仕方がなかった。

子供の頃、飛行機の轟音が響く大阪の下町に住んでいたのだが、

家の近くには、まだレンゲ畑が残っていた。

当時、共働きをしていたオカンは、仕事が忙しく、

あまり遊んでくれなかった。

その日は、めずらしく休みだったようで、レンゲを見に行こうとなった。

まだ小学校にあがる前だったと思う。

見慣れたアスファルトの道を通り過ぎ、知らない通りをいくつも越え、

ずいぶん遠くまで歩いたような気がした。

と、いきなり真っ赤な絨毯を敷いたようなレンゲ畑が目の前に現れた。

わあーっと叫んで、レンゲ草の中を駆け回った。

ふと、オカンを見ると、せっせと何かを作っている。

見るとそれは小さくてかわいい花冠で、そっと私の頭に乗せてくれた。

お姫様になったようで、スカートの裾を両手でつまんで、

しなりしなりと歩いた。

オカンに、花びらを吸ってごらんと言われ、チュッと吸ったら、

ちょっぴりだけど甘かった。

摘んだレンゲの花を両手に抱え、密を吸いながら家に帰った。

懐かしいレンゲ畑。

奈良にはきっとまだ残っているだろう、そう思った。

奈良の風景写真をよくアップしているこの方なら、

知っているかもしれない。

個人的にメッセージするのは初めてだったが、思い切って聞いてみた。

すると、そういえば近頃見かけなくなったなあと言う。

やはりレンゲ畑には、堀川さんも小さい頃に家族とでかけた

懐かしい思い出があるようで、探してみるねと約束してくれた。

そんな会話をネット上で続けていたある日、好きな映画の話になった。

二人とも昔の東映動画が好きで、絵本作家でもある

もりやすじさんの大ファンだとわかる。

今はもう手に入らない昔の映画のDVDをくれるというので、

会う約束をした。

それが4月8日だったことは後で知った。

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