ブランドを立ち上げる
仏像をテーマに、ぬいぐるみを作ると決めた。
長年パンダ商品を扱ってきたため、どうもパンダから自分を切り離せない。
なので、パンダをモチーフにすることにした。
大仏ポーズをとるパンダ。
ぽてっとしたお腹にたれ目のパンダは愛らしさでいっぱいだ。
でも、それだけでは何か物足りない気がした。
そこで、闘いの象徴である鹿の角をつけてみた。癒しに勇ましさが加わった。
ぬいぐるみで、奈良を舞台に絵巻物を作ったらおもしろいかもしれない。
そう、思いついた。
物語が決まり、ぬいぐるみを持って、さっそく奈良の街に繰り出した。
お寺を背景に写真を撮り、ポストカードを作成。ついに商品ができあがった。
HPを立ち上げた。9月1日だった。
売れるとか売れないとかはどうでもよかった。
9月に立ち上げると決めた。
そして、決めたその日に立ち上げることができた。
それがうれしかった。
日本に帰ってきてから、毎日必死で創作を続けた。
真っ正面から自分と向き合った。
魂をこめてぬいぐるみを制作をした。
そして、それを紹介するHPを立ち上げることができたのだ。
とはいえ、次の目標がまだある。
さっそく、できあがったポストカードを持って、雑貨ショップに売り込みに回った。
苦手な飛び込み営業。
「なんで奈良でパンダ?」と鼻で笑われ、
そして、また次の店でも断られる。
心がポッキリ折れ、立ち直るのに何日もかかった。
自信なんてさっぱりなかったから、断られたら簡単にもうダメだと思ってしまう。
そんなとき、ある店で、ダメ元でと、お蔵入りさせていた阿修羅パンダをみた。
すると、「おもしろい!これなら置きたい」と言われ、契約にこぎつけた。
じゃあ、このシリーズをもっと作らなくちゃと思って、作ったのが
「みほとけパンダシリーズ」の十一面観音パンダだった。
この十一面観音パンダに、この後、随分と救われることになる。